席の確保で置いた荷物が盗まれる危険性

その他窃盗の事件簿
2021.11.24 水曜日
席の確保で置いた荷物が盗まれる危険性

座席を確保してから注文するルール

近年、セルフサービス方式のカフェやファストフード店で「席を確保してから注文してください」とアナウンスをするお店が増えています。
しかし、席を確保するには荷物を空いている席に置いたまま席を離れ、カウンターまで注文をしに行かなければならず、それを不安に思う人も非常に多いようです。

実際に盗難被害に遭うケースも出ており「お店のアナウンスで座席に荷物を置いて席を離れたら盗難に遭ったので、お店にも責任はあるのでは(損害賠償できるか?)」といったことが話題になることがあります。

この事例は非常にデリケートな事例で、お店も利用者もそれぞれが気を付けることがありそうな気もします。

お店側に責任はあるのか?

席の確保で置いた荷物が盗まれる危険性

この件についてインターネット上の何人かの弁護士のコメントによると、基本的にお店に損害賠償はできないとされています。

その理由として『お店に荷物を預けたわけでなく、お店が荷物を無くしたわけでもない』ということになるからです。
また、お店側のアナウンスも「席を確保してから」という言い方が多く「お席に荷物を置いてから」というアナウンスをしているところは見かけません。

つまり、席を確保するのに「荷物を置いて確保を主張する」と判断したのはあくまでも利用者であり、それはお手洗いに行くときに席に荷物を置いたままにしていくことと変わらないということになるとの事です。

しかしながら、法的にお店側に問題はなくとも「先に席を確保」というローカルルールをお店側の判断で設定をしてしまうと『荷物を席に置いてから注文をしに行かなければならない』と利用者が判断してしまうのは明白です。

お店側に損害賠償の責任はなくとも、わざわざ利用者の荷物が盗まれやすい状況を作り出す必要もないと思います。

荷物が盗まれる理由

なぜ座席に荷物を置いたままにすると、荷物やその中の貴重品が盗まれるのかというと、当たり前の話ですが荷物を置いたまま持ち主が離れたからです。

よく海外から日本に来た方が、日本人が荷物を自分の監理下の無い場所に平気で物を置くのを見て「なんて日本は治安がいいんだ!」と驚く、といった事が報じられますが、これはたまたま盗まれていない、もしくは海外の治安が良くない場所に比べてマシなだけで、荷物を置きっぱなしにすれば日本でも窃盗は発生します。

荷物を置いたままにしていても盗まれないだろう、と考えることは危険で、日本でも隙を見せれば泥棒に狙われます。(泥棒は常に物が置きっぱなしになる場所を探しています)

その為、席を確保するときに荷物を置きっぱなしにする場合は、貴重品は必ず持っていく必要があります(その際、貴重品以外の置いて行ったものが盗まれる可能性は否めません)。

荷物泥棒を減らす手段

「席を確保してから注文」というルールをお店側が設定する場合は「席を確保するのに利用者にリスクを負わせない」という配慮が必要になります。

お店側が席を確保する方法(席を確保するためのプレート等)を用意することで、利用者は荷物を置いてその場を離れるといったリスクを無くすことができ、双方にとってトラブルを回避できるようになります。

「注文して商品を渡したが座席がない為クレームになる」ことを防ぐための対策として、発案されたルールですが、時代とともに見直しが求められて来ています。

もし「荷物を置くことで座席の確保を行う」ことを推奨される場合は、店内に防犯カメラを設置するなどして犯罪の発生を抑える事をお勧めいたします。

またよく見かける光景として、店内の監視カメラの様子を注文カウンター脇のモニターに映し出すことで、利用者に混雑状況を伝えるといった配慮は監視カメラの活用方法のひとつとして非常に効果的だと思います。

今後はアプリなどにより、注文時に座席の確保ができるシステムなども出て来ることと思われますが、それでも店内での犯罪行為や迷惑行為の防止・抑止対策として、防犯カメラ・監視カメラの設置の必要性はまだまだ高まって行くことでしょう。