農作物・家畜・トラクター盗難被害の原因と防犯対策

農業の盗難事件簿
2020.10.16 金曜日
農作物・家畜・トラクター盗難被害の原因と防犯対策

農家を狙う窃盗事件が以前として続く

関東地方を中心とした農家を狙った窃盗事件が今なお続いている。

家畜や農作物の盗難被害が多発する中で、トラクターを狙った犯行も多く発生している。なぜ、これほどまでに農家を狙った窃盗事件が多発しているのだろうか。
考えられる原因・理由とその対策について記載していきたい。

被害が多発する原因・理由
  1. 広大な敷地のため侵入がされやすい
  2. 夜間の人気・街灯の明かりが少なく人目につきにくい
  3. 農具やトラクターなどの保管方法が脆弱
  4. 農作被害の犯人検挙率が低い

主に以上の理由が大きく挙げられる。

1. 広大な敷地のため侵入がされやすい

圃場などは敷地面積が広大な場所が多いため、すべてを囲むように柵やネットなどを取り付けることは、コスト面などを考慮しても簡単なことでは無いため、対策が後手になりがちである。

2. 夜間の人気・街灯の明かりが少なく人目につきにくい

夜間は人気が少なくなり、街頭の明かりも薄暗い環境になるため、人目につきにくいので、窃盗犯は主にその時間帯を狙って犯行を行う傾向が高い。

3. 農具やトラクターなどの保管方法が脆弱

農具やトラクターなどの保管を屋内の施錠が備わった場所ではなく、圃場の隅で保管したり、屋内でも施錠の無い場所に保管を行っていることがあり、忍び込まれやすく、盗まれやすい環境下に置かれてしまっている。

4. 農作被害の犯人検挙率が低い

盗難の被害に遭い、犯人を特定したとしても重罰化の法整備がされておらず、すぐに釈放され、賠償請求することが難しいケースが多い。

このようにさまざまな要因が重なってしまっていることで、家畜や農作物、トラクターなどを狙う窃盗事件の多発に繋がってしまっている。

農家の盗難被害を防ぐための手段

農作物・家畜・トラクター盗難被害の原因と防犯対策

農林水産省が公表している『農作物の盗難の実態と対応策』をもとに、農家を狙った盗難被害を防ぐための方法を考えていきましょう。

『農作物の盗難の実態と対応策』では、生産者の皆さまに行っていただきたい防犯対策の取り組みとして、以下の項目が挙げられています。

  1. 農作物の保管・管理に気を付ける
  2. 敷地(圃場・園地)への侵入防止策を講じる
  3. 不審者の情報の共有と注意喚起を行う
  4. 防犯パトロールの実施

このうち防犯機器を取り扱う弊社では「1.」と「2.」の防犯対策につきまして、詳しく解説をしたいと思います。

1. 農作物の保管・管理に気を付ける
  • 収穫物は畑等に放置せず持ち帰る
  • ハウスや保管庫等について、窓や出入口の施錠を徹底する
  • 道具(収穫用コンテナや脚立等)は、盗難に利用されないよう園地からこまめに撤収する
  • 侵入者を見分けるために、作業者は腕章、農作業車両にはステッカー等の目印を着ける

収穫物、農具、トラクターといったものの管理をしっかりと行うことが防犯対策としての第一歩です。ここで重要なのは「敷地(圃場・園地)からこまめに撤収」し「施錠を徹底する」ことです。
敷地(圃場・園地)の隅に置きっ放しにしたり、無施錠の場所に置いておくだけの状態はもはや安全ではありません。

2. 敷地(圃場・園地)への侵入防止策を講じる
  • ネットや柵等を設置し、侵入しにくい環境を作る
  • 「盗難注意」「立入禁止」「農薬散布直後」等の看板やのぼり旗を設置する
  • 防犯カメラ、センサーライト等を設置する
  • 通行人から見える位置に「防犯カメラ作動中」等のステッカーや看板等を設置する

敷地内に無断で侵入されないための対策を行いましょう。「侵入しにくい環境を作る」だけでも、不法侵入を躊躇させる効果があります。
その上で看板やのぼり旗の設置、防犯カメラ、センサーライトの設置、監視中の看板設置というように、何重にも防犯対策の上積みを行うことで、被害を未然に防ぐことに繋がります。

侵入防止策の考え方は「泥棒に盗まれてからでは遅い」ということです。盗まれる前に犯人を撃退するための対策を講じることこそがポイントです。
防犯対策にはコストも時間もかかりますが、金銭的な被害を防ぐことだけではなく、生産者のご家族の安全という観点でも非常に重要になるからです。