アナログの防犯カメラとデジタルの防犯カメラ

防犯コラム
2018.04.11 水曜日
アナログの防犯カメラとデジタルの防犯カメラ

アナログとデジタル 防犯カメラの分類

防犯カメラの説明をするときに、「このカメラはアナログで」「このカメラはデジタルで」という説明を受けている方が多いように感じられます。

その際に「アナログからデジタルに変えると映像が良くなる」という説明を受けている方も多いようですが、実際のところは「今のアナログは画質が良い」ということができ、画質のいいものを選ぶ際に「アナログか、デジタルか」を基準にしてもしょうがない、といえます。

アナログの防犯カメラにも、デジタルの防犯カメラにも、それぞれ種類があり、それぞれ特徴がある為、環境や目的にあった機種を選ぶことが重要です。

デジタルの防犯カメラには(1)ネットワークカメラ(IPカメラ)、(2)HD-SDIカメラがあり、アナログの防犯カメラには(3)AHDカメラ、(4)CVBSカメラがあります。

(1)ネットワークカメラ(IPカメラ):デジタル

アナログの防犯カメラとデジタルの防犯カメラ

ネットワークカメラは、配線にLANケーブルを使用するカメラで、カメラ自体がインターネットに接続できるものを指します。

映像品質の進歩が一番早く、各種機能の開発が急速に進んでいることが特徴で、画素数は400万画素、500万画素、1200万画素、と言ったものまで開発が進んでいます。

また、ソフトウェアと組み合わせることで、人相識別や車のナンバーの識別なども可能になってきており、撮影・録画以外の「解析・分析」といった機能を実装しつつある状況です。

ただし、高機能になればなるほどコストがかさみ、また高画質になっても、現状はその高画質な映像をモニターやPCでは再現できない為、一般的な使用条件に対し、オーバースペック気味とも言えます。

ネットワークカメラの長所・メリットは、技術進歩が速く、撮影以外の機能(分析・検知・アラーム発報など)の拡張が将来無限に広がる事と、近くのLAN端子にケーブルを差し込めば、どこからでもアクセスが可能なことが挙げられます。

大規模な工場などでは、カメラ設置の際に配線を引き回す頃が困難な為、近くの端子にケーブルを差し込めばいいネットワークカメラが活躍します。

逆に短所・デメリットは、現在実装されている高度な機能は、一部の大企業以外ではコスト的にも用途的にもオーバーである事や、配線の限界が100mであること、録画が不安定なことが挙げられます。

ネットワークカメラの解像度は飛躍的に伸びており、画質が上がれば上がるほど、データ量が多くなっています。それに対し、データを圧縮する技術がやや追いついておらず、カメラで撮影した映像をカメラ内部でデジタルデータに変換圧縮し、録画装置などに送信する際に、遅れや抜けがでています。

また、インターネット網を通る際に混雑などがあると、うまく映像を送信できずに、映像切断や録画漏れが発生します。

そういった事情から、既設のLAN端子に配線を差し込む、という工事上のメリットを除き、現状では純粋なメリットが薄いとも言えます。

(2)HD-SDIカメラ:デジタル

アナログの防犯カメラとデジタルの防犯カメラ

HD-SDIカメラとは、非圧縮のデジタル信号で映像を送信するカメラの事で、地デジハイビジョン放送や衛星放送に使用される信号を用いた防犯カメラです。

ケーブルはテレビを壁に端子に接続する際に使用する、同軸ケーブルを使用するもので、長らく防犯カメラ業界では「同軸ケーブルのカメラは高画質にならない」といった常識を打ち破って今から8~9年ほど前に登場しました。

解像度は地デジハイビジョン放送と同じく200万画素で、あらゆるカメラの中でも高品位な映像が得られるため、防犯上、証拠能力の高い映像が得られるため、弊社でも積極的に取り扱っているカメラになります。

開発のスピードは遅く、登場からこの8年ほどは200万画素からの進歩はなく、最近ようやく400万画素の物が流通し始めました。

HD-SDIカメラの長所・メリットは、高画質なフルハイビジョン映像を圧縮なしで送信できることです。

そのため映像の遅れや切断・録画漏れがなく、高画質で滑らかな映像を安定して得ることができます。

また、古い防犯カメラと同じ同軸ケーブルで配線する為、古いカメラからの入れ替えの際に配線工事をやり直さずにHD-SDIカメラに機器を入れ替え、映像を高画質にすることができ、工事コストを抑えることができます。

短所・デメリットは、信号の周波数が高すぎることで、ノイズの干渉や長距離配線に弱い事が挙げられます。

防犯カメラのケーブルは、他の電子機器の配線と同じルートをたどることも多く、他の機器の電気信号の干渉が起こり得ます。

その際に映像信号の周波数が高ければ高い程、ノイズ干渉の影響を受けやすく、映像にノイズが入りやすくなります。
HD-SDIカメラは、ありとあらゆる防犯カメラの中でも周波数が高い為、場合によってはノイズの混入が避けられないことがあります。

既設の古い防犯カメラではノイズが乗らなかったのに、HD-SDIカメラにしたとたんにノイズが入った、せっかくコストをかけて導入したのに、きれいな映像が得られなかった、ということがあり得ます。

弊社ではノイズ干渉がありそうな場合は、他の方式の防犯カメラを採用し、高画質な映像を得られるように選択しています。

(3)AHDカメラ:アナログ

アナログの防犯カメラとデジタルの防犯カメラ

現在高画質カメラの主流になりつつある信号で、アナログ信号でありながら急速に高画質化が進んでいる防犯カメラになります。

現在の主流は地デジハイビジョン放送と同じ200万画素フルハイビジョンで、この春、多くのメーカーが400万画素の実用化を発表しています。

さらに既に500万画素、800万画素の機種も開発が進んでおり、テレビの4K化とほぼ足並みがそろいつつある状況です。

配線はHD-SDIカメラと同じく、テレビを壁に端子に接続する際に使用する、同軸ケーブルを使用するもので、HD-SDIカメラに見られるデメリットが無い為、弊社でも主力として扱っております。

AHDカメラの長所・メリットは、ネットワークカメラやHD-SDIカメラと同等の高画質な映像を得られることと、周波数が低い為、ノイズ干渉や長距離配線に強い事が挙げられます。

また、HD-SDIカメラと同様に、カメラ内部で映像信号をデジタル変換・圧縮をせずに、アナログ信号のまま送信する為、ネットワークカメラに見られる映像の遅れや切断・録画漏れがなく、高画質で滑らかな映像を安定して得ることができます。

逆に短所・デメリットは、現在業界の主流になりつつあり、各メーカーでの開発・生産が盛んなことから、粗悪品も出回り始めていることが挙げられます。

日中明るいうちは鮮明だが、夜間暗くなるとさっぱり見えない、すぐ故障する、などのトラブルを避けるためにも、信頼できる業者から購入することが重要です。

(4)CVBSカメラ:アナログ

昔からあるアナログ防犯カメラの事で、40万画素程度が最高出力となります。

既に高画質防犯カメラの流通が当たり前の現在では、何もメリットはありません。

アナログとデジタルの違い

アナログの防犯カメラとデジタルの防犯カメラ

上記の様に、アナログ方式の防犯カメラとデジタル方式の防犯カメラではそれぞれ特徴があり、メリット・デメリットが分かれます。

しかし、「高画質」と言った観点ではアナログとデジタルに違いはありません。

LAN配線がしっかりしている大規模な施設ではデジタル方式のネットワークカメラにメリットがありますし、逆に高画質が主目的の場合はHD-SDIカメラかAHDカメラにメリットがあります。

また、マンションなどの長距離配線が必要な場所では、ノイズに対する耐性からAHDカメラ一択になります。

解析・マーケティングなどのソフトウェアと連動させる場合は、デジタル方式のネットワークカメラ一択となります。

しかし様々総合すると、防犯目的の場合はAHDカメラを選択すれば間違いがないように思われます。

アナログとデジタルの違いというのは、あまり明確なものはなく、どちらかというとネットワークカメラとその他のカメラの違い、と考えたほうが明確です。

その場合、ネットワークカメラはLAN配線で、映像撮影以外のマーケティングやカウント機能が実装可能、LAN配線やマーケティング機能が必要ない場合は、ネットワークカメラ以外を選択、という考え方になります。

アナログからデジタルへの変更

上記の事を考えると、「アナログからデジタルへ変えることが良い事だ」という案内は、一概に肯定できません。

もし「高画質化」が目的であれば「アナログ(CVBS)からアナログ(AHD)への変更」が適切で一番リスクがなく、既にLAN配線が敷設されている、もしくはマーケティングの機能を盛り込みたい場合は「アナログからデジタル(ネットワークカメラ)への変更」が適切です。

目的と設置場所の環境から機種を選ぶことが一番重要です。