警察の監視カメラ映像解析
- 防犯コラム
- 2016.04.19 火曜日
一般的な監視カメラの利用方法
2016年2月23日の産経ニュースで、警察の監視カメラ映像解析の手法と、その解析映像を利用した捜査方法が掲載されており、その科学的手法には驚きを禁じ得ない。
一般的な監視カメラ映像の利用方法としては、容疑者の顔が映っていたり、車のナンバーが映っていたりすることで、犯人を確定するといったものになる。
しかし、夜間の撮影などで車のナンバープレートなど重要な情報が読み取れないことも多く、現状の技術では不鮮明な映像を完全に鮮明にする、といったものではなく、特殊な数式を使うことでわずかに鮮明にしたり、映像を推測するところまでが限界の事も多いという。
確かに監視カメラの構造から言っても、不鮮明なものを鮮明にすることは物理的にほぼ不可能で、「画素」という粒がないところはどうにも復元できない。復元も何も、「無い」のだから復元しようがない。
それでも、レベルの高い推測や、わずかな情報を映像解析から獲得し、それを犯人検挙に警察はつなげていく。
着眼点を変えた監視カメラの活用で犯人検挙
一昔前は、映像解析とはいっても映像の明るさを変えるという、ウィンドウズムービーメーカーやフォトショップレベルの加工しかされていなかったことを考えると、解析技術や監視カメラの利用方法は飛躍的にレベルが向上しているといえる。
ある放火事件の際の映像解析では、やはり犯人の顔もナンバープレートも映像不鮮明な為読み取ることができなかった。
しかし、事件を解決したのは、顔でもナンバープレートでもなく、犯人の車両のブレーキランプ部分の映像だった。
監視カメラ映像を静止画に変換し、ブレーキランプ付近を同一の大きさに特殊な数式をつかって変換、ブレーキランプ付近の明るさを導き出し、ブレーキランプの故障を確定させ、検挙につながったという。
容疑者の自供頼みの立件では、不起訴や無罪になることも多く、確たる証拠をもとに、自供以外で犯行を確定させることが重要視されてきており、その意味でも監視カメラの重要性や、その解析技術の重要性は高まってきている。
警察では専門研究員の配置などにより、画像工学を駆使した分析を始めている。
その技術には、ピントぼけやノイズなども情報を数式で逆算したり、静止画を組み合わせるなどして鮮明化を図っており、また十分な鮮明化ができなくとも、わずかな情報をもとに検挙につなげる手法も確立されつつあるという。
警察の解析技術の向上が進めば進むほど、検挙率が高まり、犯罪の起こりにくい世の中になっていくことが予想されるが、それに加えて、より鮮明なカメラを普及させることで、より確実な証拠を警察に提供できるようにすることも非常に重要なこととなる。
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